スタートアップがAIエージェント「Manus」で名刺管理アプリを内製化。構築の背景・実装した機能・費用感・注意点まで、一次情報をすべて公開します。
この記事で分かること
Manusで名刺管理アプリを内製した理由とコスト感
実装した機能の全容(名刺スキャン・テキスト取り込み・タグ管理など)
Manusでアプリを作る際のプロンプトのコツと注意点
Sansan・Eightなど既存ツールとの比較
はじめに:名刺管理、どうしていますか?
名刺の管理、大変ですよね。
大きなチームであればSansan、小さなチームや個人ではEightを使っているのではないでしょうか?

弊社Whableでは、名刺管理アプリをAIエージェントのManusを使って自社で構築しました。
この記事では、なぜ自社で内製化しようと思ったのか、そしてどのように作ったのか、ノウハウをすべてシェアします。
なぜ、名刺管理アプリを自社で作ったのか
① コストの問題
最も有名なSansanは高価格帯で、スタートアップにとっては費用が大きな負担です。一方で、安価なツールはスキャン枚数に制限があったり、機能が簡易的だったりと、業務で本格的に使うには物足りませんでした。
② Notionとの連携
弊社では案件管理にNotionを使っています。企業情報・担当者・商談状況をNotionで一元管理し、簡易的なSFAとして活用しています。
そのため、スキャンした名刺や顧客情報をNotionとシームレスに同期できる仕組みを作りたかったのです。
③ ランニングコストを大幅に抑えたかった
創業したての弊社は、固定費を少しでも抑えたい。Manusなら一度構築すれば、SaaSの月額課金と比べて大幅にランニングコストを抑えられるため、内製化を決断しました。
具体的な費用感は後述しますが、月額数千円のSaaSと比べても十分にコストメリットがあります。
既存ツールとの比較
名刺管理アプリを選ぶ際に気になるポイントを比較してみました。
Sansan | Eight | Manus内製 | |
|---|---|---|---|
月額コスト | 高い(数万円〜) | 無料〜(有料プランあり) | AI利用料+インフラのみ |
Notion連携 | × | × | ◎ |
カスタマイズ性 | △(設定範囲内) | △(設定範囲内) | ◎(自由に設計可能) |
テキスト取り込み | × | × | ◎(独自機能) |
導入ハードル | 低い | 低い | やや高い(要件定義が必要) |
Notionを業務基盤にしているチームや、既存ツールのコストに課題を感じているスタートアップにとっては、内製化は有力な選択肢です。
Manusで完成したアプリの概要
一般的な名刺管理に必要な機能は、ひと通り実装しています。
名刺一覧機能
登録済みの名刺を一覧で表示・検索できます。

タグ機能
顧客をカテゴリごとに分類して管理できます。例えば「見込み顧客」「パートナー」「イベント」など、自社のワークフローに合わせたタグを自由に設定できます。
重複名刺の統合
同一人物のデータを検出し、ワンクリックでマージ。名刺交換やデータ取り込みで生まれがちな重複をスッキリ整理できます。
CSVアップロード・ダウンロード
既存データの一括インポートやバックアップに対応。他ツールからの移行もスムーズです。
名刺の取り込み方法
名刺の取り込みは2種類実装しました。
① 画像スキャン
スマホのカメラで名刺を撮影するだけで、AIがOCRで自動的に情報を読み取って登録してくれます。外出先でもサッと取り込めるので、名刺交換の直後にすぐデータ化できます。

② テキストから取り込み(オリジナル機能)
これは、名刺を交換していないけれどメールやチャットで繋がっているお客様も同じツールで管理するための機能です。
メールの署名やテキストをコピー&ペーストすると、AIが自動で氏名・会社名・連絡先などを解析して取り込んでくれます。
活用シーン
メールの署名をコピペ → 即登録
LinkedInのプロフィール情報をコピペ → 即登録
チャットでもらった連絡先をコピペ → 即登録
名刺交換の文化が薄れつつある今、この「テキスト取り込み」は意外と重宝しています。オンラインで完結する商談が増えた時代だからこそ、名刺がなくても顧客情報を一元管理できるのは大きなメリットです。
裏側の機能:マルチテナント対応
テナント機能も構築しました。つまり、複数の会社(チーム)を1つのアプリ内で分けて管理できるようにしています。
将来的に他のチームや関連会社にも展開できる設計にしておくことで、拡張性を持たせています。
Manusで名刺管理アプリを作る手順と注意点
Manusは、自然言語でアプリを実装できるAIエージェントです。「こんなアプリを作りたい」と言葉で伝えるだけで、アプリの実装から公開まで行うことができます。
注意点①:事前に要件を丁寧にまとめること
アプリを作っていると、「この機能も追加したい」「あのUIも変えたい」と要件がどんどん膨らみがちです。しかし、修正や追加のたびにManusのクレジットが消費されていきます。
事前にまとめておくべきこと
機能要件 — 必須機能と「あったらいいな」を分けてリスト化する
UI/デザイン — 画面構成やレイアウトのイメージを簡単にでもスケッチしておく
データ構造 — どんな項目を管理するのか(氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなど)を整理する
外部連携 — Notion連携やAPI連携が必要なら、その仕様も事前に決めておく
注意点②:一度に全部を作ろうとしないこと
最初からすべての機能を盛り込むのではなく、MVP(最小限の機能)で動くものをまず完成させるのがおすすめです。
実際に使ってみてから「本当に必要な追加機能」を見極めると、クレジットの無駄遣いを防げます。
注意点③:プロンプトは具体的に書く
Manusへの指示は、曖昧に書くよりもできるだけ具体的に書いた方が精度が上がります。
❌ 曖昧な指示 | ✅ 具体的な指示 |
|---|---|
名刺管理アプリを作って | 名刺の画像をアップロードしたらOCRで読み取り、氏名・会社名・メールアドレス・電話番号をデータベースに保存する名刺管理アプリを作って |

公開の方法
完成したアプリは、Manusの画面右上にある「公開」ボタンから簡単に公開できます。
ManusのWebアプリのすごいところは、独自ドメインも購入できるということです。自社サービスとしてブランディングしたい場合にも対応できるのは大きなメリットです。

Manusアプリの費用はいくら?ランニングコストの内訳
今回の構築にかかった費用
消費クレジット:約4万クレジット(約3万円)
ただし、試行錯誤した機能が多かったため、この金額には実験的な試行も含まれています
シンプルな名刺スキャンアプリであれば、2万クレジット(約1.5万円)程度で構築できるでしょう
また、Manusでウェブアプリを構築し、アプリ上でLLM(大規模言語モデル)を利用する場合は、構築費用とは別に以下のランニングコストが発生します。
インフラコスト — アプリのホスティング・サーバー費用
AI利用料 — ユーザーがアプリを使うたびに発生するLLMのAPI呼び出し費用
これらの費用は、Manusの管理画面にある「利用状況と請求」から確認できます。

名刺のOCR読み取りやテキスト解析にAIを使っている場合、利用頻度に応じてコストが増えるため、定期的にチェックすることをおすすめします。
まとめ
項目 | 内容 |
|---|---|
構築ツール | Manus(AIエージェント) |
構築費用 | 約3万円(4万クレジット)※試行錯誤含む |
シンプル構成の場合 | 約1.5万円(2万クレジット)が目安 |
ランニングコスト | AI利用料+インフラ費用(従量制) |
主な機能 | 画像スキャン、テキスト取り込み、タグ管理、重複統合、CSV入出力 |
外部連携 | Notion(案件・顧客管理と同期) |
スタートアップや中小企業で「名刺管理にお金をかけたくないけど、ちゃんと使えるものが欲しい」という方には、Manusでの内製化は有力な選択肢です。
プログラミングの知識がなくても、要件さえしっかりまとめれば、自然言語だけで実用的なアプリを構築できます。
ぜひ参考にしてみてください。
